ワクワク不動怪獣日記

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「2019:まちカド破壊神」

 (まちカドまぞく×きらら作品、前回の「2019:神様とカルテット」の続きになります。通算5作目です。いったんここで一区切りとします。)

 

・登場人物

吉田優子/シャドウミストレス優子

千代田桃

陽夏木ミカン

リリス

 

音無いりす

鈴木すず

 

クロ

 

 

 

「破壊神…ですか?」

「もしかして最近のおかしな事件はあなたの仕業?」

「破壊神って…この世界を破壊する気かしら?」

 桃もミカンさんも完全に臨戦態勢に入っている。私もなんとかの杖を構えてはいるものの正直すっごく怖い。そもそもはかいしんって破壊の神ってこと…?どういうことなんだろう…。

 

「あ~破壊神って名乗ったのまずかったかな…でも嘘はつきたくないし…えーと私はそれをむしろ止めようとしているのですが…話を聞いてくれませんか?」

 

警戒している桃の質問に答える少女、音無いりす。破壊神という物騒な二つ名の割には穏やかな少女に見える。しかし桃やミカンさんは警戒を緩めようとはしない。私でも目の前にいる少女が普通じゃないことはわかる。でもこの街でのケンカは止めなくちゃいけない。どうしようと考えていると…

 

「…みゅーたん!」

 

「!?すーちゃん!!」

 

茶髪の少女が走ってきた。音無いりすという少女の反応を見るに知り合いのようだ。

 

「えっ魔法少女!?これどういう状況!?みゅーたんになにするつもり!?」

 

「あーとりあえず何から説明しましょうか…」

 

 

 

 一旦その場は収めて、とりあえず音無いりすさんの本拠地?のような場所で説明が行われることとなった。空に浮かんでいる島に家が建っているような変な場所で正直落ち着かない。先ほどやってきた少女は鈴木すずさんというらしく、音無いりすさんの友達だそうだ。

 

「…私たちがいる世界は元はこんな風じゃなかったんです」

「こんな風…とは?」

「そもそも私たちの世界とあなたたちの世界は別の世界なんです」

 

「なんですと!?」

「そーなの!?」

 私と鈴木すずさんの声がダブる。破壊神と友達といっても、鈴木すずさんは普通の人間であるらしい。

 

「いろんな並行世界があってそこにはそれぞれの物語がつづられているんだ、私の旅路も、君たちの街角も、元は別々だったってこと」

 「あ…クロさん?」

「久しぶりだね」

そこに以前会ったクロさんも入ってきた。

 

「でも最近そこへ妙な魔法が介入を始めているんです」

 

「魔法…?」

 

「強制的に人を別の次元へ召喚してしまう…そういう効力を持つみたいなんです」

 「しかもその魔法は召喚された世界と召喚した世界、両方に悪影響が出るんだ。」

「そんな魔法、聞いたことないわ…」

「…召喚された人はどうなるの?」

 

桃の質問にクロさんは答えた。

 

「消えるよ、その世界から。今多くの物語から人が消えている。人が消えるということは物語が欠けるということ、欠けた物語同士は歪みを埋めるため、溶け合い、交じる…そうやってできたのが今の状況さ」

「でも要素が欠けすぎると完全に壊れてしまいます。だからその世界の核をカタチとして保管、保護してもらう必要が出てきてしまって…」

 「それが君の持ってる結晶だよ」

 

 クロさんは私の持っている星結晶を指さした。

 

「これが…?」

「なぜ私たちにそんな大事なものを渡したんですか?」

 

桃の問いに答えたのはいりすさんだった。

 

「この街には結界がありますよね?」

「…姉が残した結界」

 

 先代のこの町の魔法少女、千代田桜さんが残した結界だ。

 

「無断拝借に近い形になってるけど、召喚魔法に対抗するための拠点としてはここが一番都合が良くて、今はこうするしか方法がないんだ。」

 「えーと…神様なんですよね?直接こう…なんとかできないんですか?」

 

「この召喚魔法はどこの時間軸から召喚されるかわからない、こちらの存在に気が付かれて音無いりすが破壊神になる前の時間軸から召喚された場合、今の音無イリスも消えてしまうかもしれない。そうなると打つ手がなくなっちゃうからね。」

「まあ手段がないわけではないので、優子さん達には保護の方をお願いしたいんです」

 

 

 

 

「…急展開すぎて頭がついていきません」

「とりあえずこれからも結晶を集めてほしいとは言ってたけど…」

「どうするのかしら…」

 

ただでさえいっぱいいっぱいであるこの街に持ち込まれた爆弾案件。これからも街角に現れる異質な日常は増え続ける。

 

 

 

 

「みゅーたん、大変なことになってるんだね」

「うん」

「…直接向こうに乗り込む気だろ」

「!?」

「わかるぜ、それぐらい」

「そっか…」

「あたしには何もできないかもしれないけど、それでも側にいるから」

「ありがとう、すーちゃん」

 

 

古びた本を開いた音無いりすが何かしらの呪文を唱えると、魔法陣が現れ、二人の姿は激しい光に包まれて消えた。

 

「…うまくいくといいんだけど」

 

直接異世界にこちらから乗り込む、音無いりすの案は正直危険であったが手をこまねいているわけにもいかない。こちらに残ることになったクロは、彼女らの無事を祈った。

 

彼女らが向こう側に乗り込むために開いた本、それは聖典と呼ばれるものであり、こちらの世界に存在する唯一の聖典、そしてこちらから向こう側にアクセスできる唯一の手段。

 

 

「きららファンタジア」