ワクワク不動怪獣日記

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茨の道の恋物語~「狼領主のお嬢様」紹介記事・前編~

今回のテーマとなる作品は「狼領主のお嬢様」です。

 

漫画版も出ています。

 

 さてこの作品の主人公のお嬢様は一話で処刑されるのですが、その処刑された後の世界に転生するところから物語は始まります。処刑された理由は、主人公一家が私腹を肥やすことしか考えずライウスという治めている領や民を破滅寸前まで追い込んだ悪徳領主でクーデターを起こされたからというものです。

 

 ただお嬢様自体は悪人ではなく、誰に対しても分け隔てなく接する大らかな優しい箱入り娘(箱入りゆえに外の惨状と関りがなかった)であったので、自分の一家は悪徳領主一家として恨まれてはいるが、お嬢様個人の人柄は好かれていたという微妙な関係にある、という事です。そして主人公一家を処刑に追い込んだクーデターを起こした勢力のスパイの少年カイドとは恋仲でありました、地獄。一話でお嬢様は自分を生かしていては主人王一家に反感を持つ領民から反発が出て領がまとまらなくなるという事を察したのか、わざと悪役令嬢のような振る舞いをして処刑台に上ります。そしてお嬢様を処刑した少年カイドはライウス領の領主になり、領の立て直しをしていくことになります。カイドは恋人を殺して領を救った救世主になったのですね。

 

 先ほど述べた通り、お嬢様一家は処刑されて当然の悪行三昧を行っていたでものの、お嬢様個人は恨まれる性格ではないどころか使用人にもおおらかで優しい性格であり慕われていたため、新しい領主のカイド君に対して元々いた使用人たちからは「領を救ってくれたことには感謝するがお嬢様を殺したのは絶対許さない」と地獄のような感情を向けられることになります。そんな中、処刑されたお嬢様が転生した孤児のシャーリーがメイドとしてカイドの邸にやってくるところから物語が始まります。

 

 この辺りの話は直接読んだ方がわかりやすいと思うのでこちらの1話と2話をご覧ください。

comic-walker.com

 

 転生したお嬢様ことシャーリーは処刑されるまでに自分達一家の罪をこれでもかと認識したため自己評価が最底辺になっており、一生修道女として罪を償いながら生きるつもりだったというとんでもない精神状態になっていました。孤児院の院長先生の紹介により、かつての恋人であるカイドの邸でメイドとして働く中で、かつての恋人である領主カイドが自分が処刑された後どう生きてきたのか、かつての使用人たちはどうしているかを目にします。恋人を殺さなければ領をさせることができなかったカイドの無念を理解し領民に複雑な感情を見せるカイドやお嬢様の友人であるイザドルや、かつてのお嬢様と最も親しかったメイドであり、カイドに複雑な気持ちを抱きながら仕えている現メイド長のカロリーナ等、濃厚な地獄が展開されています。

 

 そしてシャーリーは自分の正体を明かして、カイドともう一度ちゃんとさよならを告げるために、不本意な別れとなってしまった前世のようにではなく、しっかり終わらせるために、カイドに向きあうことを決心します。しかしそんな中でカイド毒殺未遂事件が発生、犯人はなんとかつてお嬢様一家とともに処刑されたお嬢様のかつての婚約者ウィルフレッドでした、彼もまたお嬢様がシャーリーに転生したように、ティムという少年として転生し、カイドの邸に使用人として潜り込んでいたのです。彼はお嬢様と違い元から極悪非道の性格をしており歯向かうもの逆らうものを片っ端から殺しており、転生後は自分のものとなるはずだった領、そしてかつての婚約者シャーリーを手に入れるために事件を起こしたのです。

 

 しかし彼もまた悲しい存在でした。かつてのウィルフレッドとして行った悪事は、御伽噺のように語られ、転生後も自分が悪役として殺されるという物語を嫌でも聞くことになってしまったせいで、転生しても新しい自分・ティムとして生きることができず、前世の事を忘れることができなくなります。皆がウィルフレッドの事を覚えているが自分がウィルフレッドであることは誰も知らない、自分の居場所はこの世界のどこにもない、寒くて仕方がない…と一人ぼっちの子供のようにシャーリーに泣きつく場面は胸を痛めます。

 

 死にかけながらもなんとか息を吹き返したカイドがシャーリーを取り返す中で、かつてのお嬢様の本当の願いであった共に生きたい、カイドと添い遂げたいという思いが露になります。かつてお嬢様に使えていた使用人たちも事情を把握し、戻ってきたお嬢様、かつての主に対して涙を流しながらお帰りをお待ち申し上げておりました…と告白するシーンは涙なしには見られません。こうしてシャーリーはカイドと結婚することになります…。

 

 ようやく、彼女たちはまた、新しい生き方を見つけることができたのです。ようやく、幸せの第一歩を踏み出すことができたのです。長く苦しい旅路だったことでしょう。それでも、二人はついに、前を向いて歩きだすことが出来たのです。二人の今後に幸あらんことを…。

 

 

 

 

 

 

 

そしてその幸せが次の章で粉々に破壊されてサイコホラーが始まります。

 

 

なんで?????

 

 

 

後編「最悪な黒幕、アジェーレア様」に続きます。