名探偵マーニーを楽しく読んでいる頃、同じノリでフランケン・ふらんという作品を勧める人と、あれは本当にお勧めしませんという人の両者が流れてきて興味本位で数話読んでみた。虫になった女学生が献身的に世話してくれた男と結ばれ、その後捕食してしまうというなかなか後味の悪い話で、なるほどこれは確かに人を選ぶ…と思い、セールをやっていたのでそのまま全巻購入した。悪趣味な話が大半なのだが、一貫して悪趣味さが続いているので慣れてしまうのと、一話で話をまとめる技量が非常に高いのもあって非常に読みやすかった。そのまま続編のfranticも既刊をすべて購入した。
キャラクターも非常に魅力的だ。
主人公の人造人間・斑木ふらん、卓越した外科技術を持ち、多種多様なバケモノを生み出す諸悪の根源だ。ふらんは「生きていることは素晴らしい」という確固たる信念を持ち、患者の要求を手段を選ばずに叶えたり、たまにオリチャーを発動させて大惨事を招いたりすることもあるが、その行動は善意で成立している。非常に情にもろく、自分から手術の申し出をすることもある。一般治療の範囲にさえ留めれば非常に優秀な医者であることは間違いないので使い方の問題であろう。特に私が印象に残っているのが余命100日の花嫁を救うと決意する回で、ドキュメンタリー番組を見て余命が幾何かだから感動するという視点はなく、ただこれを見た人は全ての人が花嫁が全壊して幸せになることを望むはずと確信して彼女を治すことを決意する。この善性を私たちは持っているだろうか、彼女はいつだって真剣なのである、この一途なまでの命を救おうとする心意気は一義で素晴らしいと私は思った。作品全体を見ると明らかに様々な惨事の元凶ではあるのだが、不快感が湧かないのはこういった精神性からではないだろうかと私は思う、私がおかしいって今言ったか?
そして同じく人造人間のヴェロニカ、殺人兵器という触れ込みで登場したが感性が常識人寄りであるためフランの行動にドン引きしつつ、学友と交流を重ねて人並みに傷ついたり、ゴキブリに入れ込んでウルトラゴキブリガールになったりと多様な活躍を見せるが、彼女は泣き顔が非常に良い。交流を深めたゴキブリのGZが死に仇を取ることを決意するシーン、言葉攻めにあってじわじわ涙の溢れるシーン…どれも非常に魅力的だ、かわいい、国宝といっても過言ではない。少し人を何十人か殺したりする以外は真っ当にかわいい系の妹キャラである。
他にも人間版バイバインと化し、再登場するたびに多数の個体が死亡する久宝さんや、元ネタの要素をちゃんと拾っているが故に余計にタチが悪くなっている最悪の仮面ライダーことセンチネルシリーズ、進化を続けるゴキブリたちと魅力的なサブキャラも多数取り揃えている。非常に悪趣味であるという点を除けばとても完成度が高い作品と言わざるを得ない、素晴らしい作品だ。漫画は自由であるべきだと私は常々思っているのでこういう作品が長く連載しているというのは非常に嬉しいものだ、出会えて本当に良かった、おすすめはしない。