ワクワク不動怪獣日記

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ウルトラマンブレーザー全体感想

ウルトラマンブレーザーの全体感想です。

 

毎年ウルトラマンには楽しませてもらっていますが、今作は特に多くの驚きがあったように思います。

 

まず度肝を抜かれたのが初報、ウルトラマンデッカー最終章の最後に公開された物でした。

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トリガー、デッカーとニュージェネの平成三部作という趣の作品が続く中、いわゆる「ニュージェネのガイア」が来るのではないかと思っていた中で公開されたこのPV。異様なシルエットのウルトラマンに、シン・ウルトラマンの影響も感じ察せるようなやり取りの会話…すべてが異質なこの初報で、何かとんでもない挑戦をやろうとしているのではないかという確信がありました。あと多分田口監督だろうなあという予感。

 

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そして公開された新番組予告、それは田口監督がメインの、これまでのニュージェネとは違う雰囲気のウルトラマンでした、私はニュージェネのウルトラマンだとXやZが好きなのでそれらの田口監督が気合を入れて作ったものなら面白いものが間違いなく出てくるだろうと思い、心配はしていませんでした。この時の予感が外れなかったことがとても嬉しかったです。

 

まず驚いたのは一話のすべてのシーンが戦闘シーンという作り、新怪獣バザンガの強さとゲント隊長の場数を踏んだベテランの様相を見せ、夜の街に吠える謎の巨人の荒々しい戦闘、最高の一話でした。今作の巨人・ウルトラマンブレーザーについて、例年のウルトラマンは基本的に普通に会話をすることができるか、力そのもののような存在でほぼ主人公と一体化しているかのどちらかでしたが、ブレーザーの場合、地球の言葉を喋らないため会話をすることができず、行動の意図を理解するのが困難であるという描写がしばしば描かれました。しかしよくよく理解して見るとそれは一体化したゲント隊長を案じた行動であり、一貫して未知ではあるが善性の宇宙人であるという点がぶれなかったのが良かったです、一話で負傷した人間を守るように怪獣に吠えて後退させるシーンでそこをはっきりと印象付けていたのがとても好きですね。まあウルトラマンだから善性なのは当たり前だろというメタ的な見方もできますが、勝手に動いたり体を乗っ取ったりもすることもあったブレーザーが、地球人の言葉をたどたどしくも学び、「俺も行く」とゲント隊長に共に戦う意思を伝えるシーンや、ゲント隊長の家族の思いが伝わってブレーザーに新たな力をもたらしたブレーザー光線発射のシーン等、最終回までに未知の宇宙人と地球人のバディ物としてのルートが綺麗に描かれてきたように思います。

 

次に今作の防衛チームであるSKaRDの面々、家庭持ちのゲント隊長、真面目な副隊長のテルアキ、狙撃と技術職のヤスノブ、格闘戦のアンリ、諜報のエミ、そしてアースガロンのAIであるアーくん。特殊チームの精鋭らしいプロの集団であり、愛嬌もある良いチームだったように思います。田口監督メインらしく、ウルトラシリーズの防衛チームというより現実の軍事的な特殊チームといった趣がありましたね。V99関連の話は役者の演技力がかなり物を言うシーンが多く、異色なつくりをしていたように思います。V99案件の黒幕ともいえるドバシ、SKaRDを叱責するシーンが多かったものの上層部の圧力からSKaRDを陰で守っていた参謀長、そしてSKaRDの隊員でV99関連で先頭に立つエミ隊員の3人が中心だったように思われますが、子供向け番組であるウルトラシリーズという枠組みを除いてもハイレベルな演技パートだったのではないでしょうか。

 

ウルトラ怪獣に関しては、例年のニュージェネウルトラマンだと新規怪獣と再登場怪獣が半々か再登場怪獣が少し多いぐらいが通例でしたが、今作では非常に多くの新怪獣が参戦しました。使える怪獣リストがデッカーと多く被ったため新規怪獣を増やす必要があったという理由もあったそうですが、新しい怪獣が多く出てくれるのはそれだけで嬉しいものです。制作発表会に名前の知らない怪獣がゾロゾロと出てきたあの感動は生涯忘れないでしょう。個人的には天弓怪獣ニジカガチ・深海怪獣ゲードス、月光怪獣デルタンダルが好きです。ガラモンからチルソナイトを抽出して武器になるのは驚きでしたね…。またSKaRDの主戦力の怪獣ロボ、23式特殊戦術機甲獣アースガロンについては、セブンガーのような単純撃破数は少なかったものの要所要所で活躍をし、ブレーザーの勝利に貢献するとともに、AIを搭載したことによりキャラクターとしての強さも得たように思います。

 

特撮美術の向上については毎年思っているのですが今作は特にミニチュアの街並みのクオリティが上がったと思います。ニュージェネシリーズの特撮技術が非常に高いことは言うまでもないですが、ミニチュアの街並みに関してはどこか「街」のイメージというか、現実の町というより架空の戦闘のセットのような雰囲気になっていた所があるのですが、ブレーザーの場合ミニチュアワークの舞台が現実と地続きになっている、その場所で戦闘していると感じられるように凝っていたのが良かったと思います。ズグガンとの戦闘のテルアキ副隊長の地元とニジカガチの出現場所の田舎でセッティングが違っていたのも良かったですね。単純な種類でもバザンガやレヴィーラの夜のビル群、ゲードスの港町、ヴァラロンの月面等、バリエーションが豊かなのも好印象です。

 

メインのストーリー軸であるV99の真相とオチ的には、ウルトラマンマックスの最終章のデロス文明のような話を2クールにしたという印象を受けました。前作の宇宙全体を支配しようとしていたスフィアなどに比べるとスケールは小さくこじんまりとしてはいますが、真摯に訴え、話してみれば、意外とあっさり分かってくれたという落としどころは、対話を重視し、地に足の着いたこの作品の着地点として非常に良かったと思います。ただできればブレーザーに限らずこれからのウルトラマンも話数増やしてほしいという気持ちはありますね、いろいろ難しそうではありますが、せめて総集編の数をもう少し減らしてクライマックスの勢いを削がないようにしてほしいというのはあります。

 

纏めると、これまでのニュージェネとは確かに異なるも、継続してきた要素の昇華もあり、初代ウルトラマンのような原点回帰も感じる…ブレーザーはそういった新しいウルトラマンだったように思います、楽しい番組でした!