ワクワク不動怪獣日記

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【日記】私が最も好きななろう小説の地の文【2024.1.20】

小説の地の文、ありますよね。

 

小説を読む上でキャラの台詞以上に大事な部分である地の文、ここが読みやすいか、好みかどうかによってその作品が気に入るかどうかが決まると言っても過言ではないでしょう。なろう作品の場合ウェブで無料で読める分先に合う合わないを判別できるので買う時に非常に助かります。

 

ではタイトルの話です。

 

https://ncode.syosetu.com/n3712gq/63/

 

 

こちらが今回話をするなろう小説の忘却聖女、私の最も好きななろう小説のひとつです。私が一番好きな地の文が乗っているエピソードは主人公の過去編で、スラム街に住んでいる主人公が、スラム街に捨てられた自分より小さな子どもになんとか食べさせるものを与えるために奔走し、なんとか林檎を手に入れて子どもに与えようとするシーンです。こちらは少々重いエピソードですがこの作品は基本的に主人公の喋るテンポや掛け合いが軽快で非常に読みやすいラブコメです、多分。

 

それではタイトルの話に戻りましょう、一番好きなのはこの文章です。

 

 

>子どもの鼻が、すんっと動く。もう一回動く。もう一回。

 そして薄く、本当に薄くだけれど、子どもは笑った。嬉しそうに、泣き出しそうに、初めて見つけた何か嬉しいものを抱えるように笑って。

 死んだ。

 

 

 

美しいと思いませんか。

 

スラム街で生活する自分を物だと認識している少女が、スラム街に捨てられたもう助からないであろう子どものために、自分が食べるための物でもない林檎を手に入れるために奔走する。それは確かに小さなこどもにとってささやかな幸福だったのであろうという描写、ゴミ捨て場のようなこの世の終わりのどうしようもない世界で確かに生まれた幸福と、命の輝きの消失がここまで無情に描かれることはそうそうありません、美しいと思いませんか。これが無料で読めるなんて私は何て幸せなんだろうと涙すら流しました。

 

この後途絶えてしまった命に対して自分のできるささやかな祈りをささげるシーン、子どもの死体を林檎と一緒に埋めるために爪が全てはがれたり、財布を盗んだ相手に殺される可能性も承知の上で謝りに行くシーンもあるのですがそこからの流れも負けず劣らず美しいのです。特に自分を人間ではなく物だと認識している主人公と主人公を一人の人間として扱おうとする神官長との会話が非常に良いものなのでぜひ読んでみてください。

 

それではまた。