まずは何も言わずにこれを読んでください。全話無料で読めます。
かならず最終話まで読んでください(58話は別の読み切りなので57話で終わりです)。
いや、惚れ魔女3巻とか六畳一間の魔女ライフの最終巻の話とかしたかったんですけどそれどころじゃなくなってしまったので…。
さて、私は割と要素としての暴力が好きです、暴力はすべてを解決するし、混ぜれば大体の物は面白くなると本気で信じていました(危険思想)。また反対にスポーツ漫画というものにはそれほど関心がなく、読んでもあまり感情移入もできないのでそれほど触れてきませんでした、未だにアメフトとラグビーの区別がついていません。
そこでたまたまツイッターに放流されていた5ヤーダーを拾い上げ(誰だ流したやつ)、たまたま読もうかなという気になったのです。
むき出しの暴力の前には人は言葉を失う、それを頭ではなく心で理解できました。
この漫画は
暴力的な部員集め編→比較的王道に近い大会編→死と暴力と凶器が支配するやみのアメフット編
という流れをたどります。暴力→スポーツ→暴力という流れですね。なんでですか?
まず部員集め編はとにかく人が人を殴るシーンが多く、油断すると皆殴ったり殴られたりします。5ヤーダー自体が暴力的な漫画だという話は割と知られているのでここでそうなんだなと納得できてしまいます、罠です。しかし大体3巻あたりからスポーツ漫画としての自覚が芽生えたのか、暴力要素は控えめになり、まっとうな青春アメフト漫画のようになっていきます。暴力で集めた凹凸の部員たちが戦術や特訓を真面目に行い、時には敗れて泣き、勝ったら大喜びする…。これぞ青春のスポーツ漫画でしょう、闘犬や刑事ドラマといった謎のノイズもありますがまあ許容範囲です。序盤の暴力漫画も変な夢だったんだろう…と納得できます。
そしてこれが6巻あたりからのやみのアメフット編から全てが暴力で蹂躙されます。部員一人の死をきっかけにルールもへったくれもない殺し合いのような試合が始まり、集団リンチや凶器攻撃により次々と散っていく仲間達、そしてやみのアメフットを牛耳るアメリカマフィアとの凄惨極まりない試合ですらない殺し合いの末、主人公以外の部員は全員散り、彼らの青春は幕を閉じます…。
なんでだよ!!!!!!!!
ヒロイン迫真の叫び、この漫画の真理。
このブログでこそ感想が文章に起こされていますが、初読時はあまりにも壮絶な結末に完全に言葉を失い、数分ほど頭が真っ白になってフリーズしていました。作者は少年兵とアメフト部員の区別がついていないのではないでしょうか、どうしてこうなってしまったんだ…。スポーツマンシップにのっとって義と誇りを守るために戦う姿は美しいのかもしれませんが、本当に義と誇り以外のすべてが消滅しました。さすがにスポーツの興味ない私でも「彼らがアメフトにささげた青春の末路がこんな形であってたまるかァ…!」と義憤にかられました。メッセージ性は強いのかもしれません。
私はこれをほぼ一人で読み始めたので最後の方は茫然自失し、言葉を失っていましたが、偶然にもTLで同じようなタイミングで読者が増えたこともあり、受け止めやすくなって非常に助かりました、孤独に戦っていたら気が狂っていたかもしれません。
オーラバトラーのパイロットのような鎧を着たアメフットマフィアとの戦争。もうボールすら存在せず、純粋な「暴力」がそこにある。
それではまた。